初版リリース 2024年04月30日
最終更新日 2024年05月02日

TDB13TB+W5-2143:バッフルステップ補正

 

【バッフルステップについて】

TDB13TB+W5-2143(以降W5と略す)のスピーカーは DB13TB+W5-2143:イコライザによる調整 にて完成したかな、と思っていた。
だがナニかスッキリしないものが残っていた。
それはある日、本屋で見かけた本をきっかけに解決した。

タイトルから分かるようにマルチWayスピーカー用ネットワーク設計の本である。
フルレンジスピーカーには関係ないよね、と思いつつ本屋でページをめくってみると知らなかったことが冒頭に書かれていた。

スピーカー自作については初心者レベルからの再スタートではあるが初めて聞く言葉だ。
図書館で読んだスピーカー自作の本には出てこなかった。
バッフルステップって何?
ググってみると 【ナレッジ】不可避なバッフルステップとエッジディフラクション に詳しく書かれていた。
要点を書くと、

バッフルステップ補正は世界標準ではBSC(Baffle Step Compensation)と呼ばれていて代表的な回路は以下のものになる。

・・・・・これってPST回路ですよね・・・・・・・・

そう言われてみるとBSC=PST回路の話はチラチラ見てはいました。
例えばこんな記事で。

フルレンジスピーカーの音を激変させるPST回路を解説

でも「バッフルステップ」とはナニ?は気にせず調べずにいた。
単に国内はPST回路、海外はBSCと呼ぶ、程度のよく有る言葉の違い程度の認識であった。
長岡鉄男氏の本にも出てきた記憶がない。
(出ていたとしたら不勉強で申し訳ない)
長岡氏の本には「バッフル効果」という言葉なら出てくる。
バッフルステップと同じことを言っていると思うが言葉が放つイメージはだいぶ違う。
長岡氏は世界標準で言うBSCを冗談半分でPST回路と名付けてしまったが、BSCが日本で知られていないのはそれが原因なのかもしれない。

(2024年5月2日追記)
長岡氏のものを含めて古めの本には「バッフル効果」という言葉が使われていて「バッフルステップ」は見つけられなかった。
最近のパソコンを使ったシミュレーションや測定を扱う本だと「バッフルステップ」が使われるようになる。
おそらくシミュレーションソフトなどで「Baffle Step」が使われていることで世界標準に切り替わっていったのではと思う。

PST回路のイメージは

なのに対してBSCは

である。
だいぶ違う。
PST回路を入れるのは「負けたような気分になる」が、BSCなら「使わないのはバカ」、ぐらい意識の違いが生じる。

そうは言ってもアンプとスピーカーの間にコイルと抵抗器を入れるBSCは異物が入る気がして気分が良くないのは事実。
気分の問題を別にしてもスピーカーの見かけの能率を下げてしまう現実的なデメリットがある。
これから小出力のパワーアンプを作ろうとしてスピーカーを作ったのだから能率が下がるのは絶対に避けたい。

調べてみると、別の方法でバッフルステップ補正を行っている例が有った。

あっと驚く安易なバスイコライザ作成計画

Baffle Step Compensation(日本語訳:バッフルステップ補正)

何のことはない自分が作ったパッシブイコライザと同じではないか。

なんとなく同じ対策に辿り着いていたようである。

今後は、これをイコライザ型BSCと呼ぶことにする。
普通のBSC=PST回路は強いて言えばネットワーク型BSCになるだろうか。

改めて示すが、この回路の特性は↓こんなだ。

 

【サランネットを外す】

さて、どうしてもハイあがりになってしまうスピーカーはイコライザ型BSCで対処すれば良い。
無理にスピーカー単独で特性を整える必要はない、と意識が大きく変わった。
コペルニクス的転換である。
そうとなれば対処の仕方は変わってくる。

サランネットを縫い込んだ特製グリル↓は、今から思えばBSC的な働きをしていた。

だがイコライザ型BSCだけで必要な補正ができればサランネットは不要だろう。
サランネットの有り無しで違いを確認してみた。

 

スイープトーンでの測定結果

グリル&サランネット&TREBLE+2

 

グリルのみ&TREBLE+1

グリルのみ&TREBLE±0

 

ピンクノイズで測ると少し印象が変わるのでこちらも掲載。
グリル&サランネット&TREBLE+2

 

グリルのみ&TREBLE+1

グリルのみ&TREBLE±0

 

このイコライザ型BSCの回路定数はサランネット無しで使うことを狙ったものではないのだが、そのまま使って問題なさそうだ。
むしろジャストフィットである。
なので サランネットは撤去することにした。
撤去により見かけの能率も上がった。

ヒヤリングしてみると「グリルのみ&TREBLE±0」で良好である。
TREBLE+1では高音域がきつく感じる。

重ねて示すが、これだけ↓高音域を落としてちょうど良いのだ。
すごい話である。

見た目はこの状態↓に戻った。
白い振動板が透けて見える。
これはこれで悪くない。

 

音質のみを考えればこちら↓のスピーカーガードに戻すべきだろうが、スピーカー保護という点では頼りない。
グリルを採用する。

 

 

以上でこのスピーカーは完成といたします。

【試聴レポート:音楽】

お気に入りの曲を聴く。

昔からオーディオのチェックは以下のアルバムを使っている。
これが気持ち良く聴ければだいたいオッケーである。

 

 

歪み感はなく低音から高音まできれいに出てきて不満は感じられない。
低音・高音とも好みのバランスになった。
リファレンスの AST-S1と比べて全く違和感ない。

 

【まとめ】

試行錯誤してしまったが、使えるものができた。
見栄えも良い。
専有面積が小さくてレイアウトが楽である。

ただ、BSCを入れないとハイあがり特性なユニット(W5-2143)の日本での評価はどんなものだろう?
ネットワーク型BSC(PST回路)やグライコで調整しないとまともな音が出ないから打ち捨てられているような気がしてならない。

 

TDB13TB+W5-2143:スピーカーの製作

TDB13TB+W5-2143:スピーカーの調整

TDB13TB+W5-2143:イコライザによる調整

TDB13TB+W5-2143:バッフルステップ補正

 

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